NHK「ためしてガッテン」とつぜん視力0.08に。
網膜の奥にある、物の焦点を合わせて、
見る部分を「黄斑(おうはん)」といいます。
40歳以上で煙草の習慣のある人は、出血で黄斑が
ふさがれてしまい、突然視力が0.1以下に低下し、
時には失明にまで至ります。
治療(レーザー光凝固)すれば失明はまぬがれますが
0.1以下になります。
視力低下の原因はどこに?
目の構造は、大きく分けて3段階あります。
水晶体:レンズの役割
網膜:水晶体から取り込んだ対象物を映すスクリーン
視神経:スクリーンの情報を脳に伝える
視力が低下する原因として多く考えられるのが、白内障と緑内障です。
白内障:水晶体が白濁して、視力が低下する
緑内障:視神経にトラブルが起き、視野が欠ける
しかしAさんは、白内障でも、緑内障でもありませんでした。つまり、水晶体と視神経には問題がなかったのです。となると、視力低下の原因は「網膜」にあると考えられます。
「目を見張る大発見!これが視力の心臓部だ」
ここで、視力の仕組みを徹底調査。視力2.0の大学生の網膜を詳しく調べると、網膜の中央に小さな黄色いシミ「黄斑(おうはん)」を発見しました。直径わずか1.5ミリの「黄斑」は視力を司る部分で、これこそが目の急所なのです。
※視力に関わらず、黄斑は存在します。
意外!視力検査の落とし穴
人間がものを見るとき、実際に視力通りに見えるのは、黄斑に映っているごくごく狭い範囲で、それ以外の部分は、実は大まかにしか見えていません。
よって、視力検査とは、網膜上では黄斑の働きだけを診る検査に過ぎず、もしも黄斑以外の網膜で異常が起きていても、視力検査では発見できないのです。
黄斑に忍び寄る魔の手 網膜の出血
「このままでは確実に失明」と宣告されたAさんの場合は、黄斑にこそ異常はなかったものの、実はその時点で、周りの網膜の毛細血管が大きく傷ついていました。視力が著しく低下したのは、傷ついた毛細血管が出血を起こし、目の中を濁らせたためだったのです。ほうっておくと、やがて大出血が起き、完全に見えなくなる可能性が高い状態でした。
網膜の毛細血管が傷んでいく過程では、自覚症状はほとんどありません。だからAさんは、自分の目の異常に気がつかなかったのです。
では、Aさんの網膜を傷つけた真犯人は何だったのでしょうか? 実はAさんは糖尿病の患者で、糖尿病の合併症のひとつ「糖尿病網膜症」を発症していました。
「細胞を焼く レーザー治療が必要なワケ」
左目が失明する可能性が高かったAさんが受けたのが、「レーザー光凝固」と呼ばれる治療法で、眼科では一般的に行われているものです。Aさんはこの治療のおかげで、完全な失明を免れました。
この治療の最大の特徴は、まだ生きている網膜の細胞(黄斑以外の部分)を焼いてしまうことです。なぜこのような治療が必要なのでしょうか?
※Aさんが受けた治療は糖尿病網膜症のレーザー治療の中でも比較的痛みの強いものでした。症状の軽い場合のレーザー治療では「全く痛くない」という人も大勢います。
真犯人は新生血管
糖尿病を患うと、網膜に無数にある毛細血管の中に詰まってしまう箇所が出てきます。すると、網膜の細胞の中に、酸欠状態に陥るものが出てきます。
このときに作られるのが「新生血管」です。新生血管は、詰まってしまった血管の代わりに、細胞に酸素を届けようとしますが、血液を漏らしやすく切れやすいのが特徴です。新生血管がたくさんできると出血の範囲がだんだん広がってしまい、やがてAさんが経験したような大出血につながるのです。
なぜレーザー治療が必要なのか?
新生血管ができる元々の原因は、網膜に起こる酸素不足です。血管の詰まりを解消し、再び網膜に酸素を送り込めたら解決するはずなのですが、残念ながらそれは不可能です。
となると、残された道はひとつ。酸素不足に陥った細胞自体をレーザーで焼き、必要な酸素の絶対量を減らしてやることで、新生血管を作らせないよう網膜の細胞の数をあえて減らします。これこそがレーザー治療の真の目的なのです。
専門家の解説
糖尿病網膜症のレーザー治療の有効性について:
糖尿病網膜症の治療で、現在、最も有効性が確認されているのが、ここで紹介したレーザー光凝固です。保険もききます。
糖尿病網膜症のレーザー治療の副作用について:
黄斑以外の網膜の細胞は、本来暗いところでよく働く性質があります。レーザー光凝固では、これら網膜の細胞をあえて殺してしまうため、当然、目の性能自体は落ちます。典型的な副作用として、トンネルなどの暗いところに入っても目がなかなか慣れない、慣れても見づらいなどの現象があります。
糖尿病網膜症になったら? 最も気をつけるべきことは?:
最も大切なのは、血糖コントロールです。これをきちんと行うことで、出血を最小限に抑えることができ、レーザー光凝固の治療をしなくて済みます。次に大切なのは、年1回の眼科の受診です。糖尿病になったとき、内科にはかかっても、眼科を受診する人は少ないからです。糖尿病網膜症は自覚症状なく進行するので、ぜひ定期的に眼科を受診してください。